いずみは夫の西村を亡くしたはがりだった。西村は酔って階段から落ちたのだった。ある日彼の遺品の中から女の歌声が入ったテープを見つける。いずみはそれが浮気の証拠と疑った。数日後、いずみは西村の友人藤井と会い、西村の不倫相手を知らないかとあのテープを聴かせた。藤井は声の主の心当たりはなく不倫とは限らないと言った。だが、西村がテープの女が歌うのと同じ曲の口笛を吹いたことがあり、自分はその女と比べてつまらない女と思っているのだろうといずみは疑った。藤井はテープ処分しておくと預かった。そんなある日、いずみが買い物から帰宅すると、マンションの廊下ですれ違った彩香があの歌の口笛を吹いていた。その夜いずみは西村が彩香と愛しあう夢にうなされた。翌日、いずみは自分を裏切った西村への復讐のために自分も藤井と関係を持とうと彼に接近する…。
東北を中心に活動を続ける直木賞作家高橋克彦の同名恐怖小説を原作に、彼の地元盛岡で真冬のオールロケを敢行して描いた土着ホラー。“人柱”をテーマに、古い因習に由来する謎の現象に苦しめられるひとりの男の恐怖を描く。
雪が深く降り積もったとある街。バイオレンスを売り物にしている小説家佐藤英一は、亡き父が森で謎の麻袋を鉄パイプで繰り返し殴る奇妙な幻想に悩まされていた。ある日、英一は実家の床下から由来の不明な骨壺を見つけ、“人柱”と書かれた古文書とともに家に持ち帰った。妻槙子が息子隆を連れ家を出てしまい、英一ひとりとなってしまった淋しい我が家。英一は恩師、大野教授の助けも借りながら謎の解明を始める。しかし同時に、英一の周りで奇妙な現象が起こり始める。そして、次第に佐藤家を巡る過去の恐るべき事実が明らかとなっていく……。
絶対的な悪をこの地上から抹殺すべく結成された謎の暗殺集団。最後の標的はなんと組織のボス自身だった。かくして殺し屋対殺し屋の熾烈な死闘が始まる! 東京国際シネシティフェスティヴァル2006で初披露され会場を絶賛絶叫の声で沸かせるも、過激すぎる描写のため一般公開が絶望視されていた本作が奇跡のロードショー。篠崎誠監督作の常連とも言うべき嶋田久作、唐橋充、藤田陽子らに加え、活劇に関しては一家言ありし監督たちも豪華勢揃いした、血湧き踊り肉蠢く、21世紀必見のはらわた活劇!
◆映画のはらわたを目にするには、こうするしかない。
そう覚悟を決めた篠崎誠は、
味方のエージェントKKの膝から下を、あっさり切り落としてみせる。
その決死の身振りの正しさと、KKの絶命ぶりの美しさとを、
各自、劇場の大きなスクリーンで、しかと確かめられたい。
=蓮實重彦(映画評論家)
映画美学校の講師をつとめる気鋭の4人の映画作家が高等科受講生をスタッフに起用して製作した実験的コラボレーションのオムニバス映画。4人それぞれの強烈な作家性が自由に発揮されている。各作品のタイトルは『夜の足跡』(万田 / 38分)、『寝耳に水』(井川 / 33分)、『桶屋』(西山 / 27分)、『月へ行く』(植岡 / 33分)。
蠱(こ)とは古代中国の呪術である。ひとつの器に小動物や昆虫を入れて殺し合いをさせ、最後に残った一匹には強い呪力が宿るという。母の葬式を終え、かつて暮らした街をぶらりと訪れた妙子と治は、次第に心に巣食うバケモノ“あいつ”の幻に襲われ始める。