泉州は信太の生れ、義理には強いが、人情には弱いあんかけの時次郎。今や人気絶頂の勤王の株を先買いして、と近江は園城寺の珍念のもとに走り、二人の京都へのスチャラカ道中が始まった。その頃京都は保守の新撰組と勤王党の争いが絶えなかった。二人が訪ねて行った証城寺には偶然、勤王の花形スター坂本竜馬が間借りしていたが、薩摩の西郷吉之助と会談するため尾張に向った。その竜馬に桂小五郎の密書を届ける久坂とおゆきが急病になったので彼らの代理人として、二人はセ、パの暗号を伝授され京都から珍道中を始めたが……食物のことで喧嘩になり別行動をとることになった。この間時次郎は新撰組の女スパイ駒菊に参ってしまったり、珍念は珍念で西郷に政治資金を届ける大前田にとり入るがスゲなくされたり--と、さんざんのていたらく、「やっぱりコンビは別れるもんじゃない」と仲直りすることになった。尾張に渡...
銀座の婦人洋装店“アオイ”のお針子美代は、ウィンドーに飾られたミンクのコートを眺めては、それを着て恋人とデートをするのを夢見ていた。が、ある日そのミンクにも買い手がついてしまった。買い主は沢山の会社を持つ実業家山下伸介。美代は、さっそくミンクを伸介のいるホテルニューオオタニに届けにいった。ミンクは、伸介の妻昌子への銀婚式の贈り物であった。しかし、伸介が、バーのマダム奈々江と浮気しているのを知った、神介の妻昌子は、届けられたミンクを放りだし弟のデザイナー由紀修平と連れだって志賀高原ホテルへ出かけてしまった。そんな時、伸介のもとに奈々江から誘いの電話がかかってきた。これ幸いと伸介は、ミンクを奈々江にあげることを約束してしまった。長年の夢をやぶられた美代は「浮気の道具になんか使わないで!」と、自分のミンクにたくした夢を伸介につげた。伸介はこの美代の純な夢...