佐々木昭一郎作、演出の音を探して旅するドラマ、「川」三部作の第3作。ピアノ調律師栄子はドナウ川をさかのぼる。モーツァルトの旋律が流れる古都プラチスラバ。羊飼いが長いムチで大地から春を呼び出す音、山野にこだまする笛フヤラの響き、思い出を奏でるオルゴール。栄子はスロバキアの心優しい人々と生気に満ちた春の音に出会う。主演は中尾幸世。芸術選奨文部大臣賞、毎日芸術賞を受賞。
作演出:佐々木昭一郎
制作:榎本一生/ウィリアムシショヴィッチ
撮影:中野英世
録音:鈴木清人
効果:織田晃之祐
技術:仲田興司/角田敏雄
編集:松本哲夫
テーマ曲:チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」 チャイコフスキー作曲 弦楽セレナーデ ハ長調 作品48 第1楽章より(指揮:ロベルトスタンコフスキー,スロバキアフィルハーモニー)
オルゴールのエバの曲奏:織田晃之祐
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NHKを代表するドラマとして、60年代から80年代にかけて海外のコンクールで賞を相次いで受賞した佐々木昭一郎ディレクターの演出作品,『川』3部作の第2作「スペイン編」。ラジオドラマ出身の佐々木氏の作品は、音にこだわった独特の世界観や、ロケ先で一般の人に演技をつけて、ドキュメンタリー風に撮影するという手法などで知られ、多くの映画監督やドラマ制作者へ影響を与えたと言われている。
ピアノ調律師栄子(中尾幸世)が、アンダルシア地方グアダルキビル川の人びとと出会い、一夏の生活を送る設定である。女主人公の栄子は、どのシーンでも人びとの普遍的な魂に一直線に進む。鍛冶屋のペペ、洞穴掘りの名人マヌエル、数学嫌いの少年ホアン、フラメンコダンサーのピーリー、ギター作りのアルファンソ――など。白と赤の色彩美。赤いトマトの赤は、文明への痛烈なシッペ返し。市場にはジプシーの人...
佐々木昭一郎作、演出の音を探して旅するドラマ、「川」三部作の第1作。ピアノ調律師栄子は壊れたバイオリンを直すため、名器ストラディバリウスの故郷、北イタリアのポー川沿いのクレモナを訪れる。そこで暮らす老人たちとの出会いと別れを通して、永遠に流れる川、歌い継がれる音、生老死を繰り返す人の営みを描く。第36回芸術祭大賞、イタリアクレモナ市民賞を受賞。
「四季ユートピアノ」「川の流れはバイオリンの音」といったNHKの名作テレビドラマで国内外から高く評価されてきた演出家佐々木昭一郎が、約20年ぶりにメガホンをとって手がけた、初の長編劇映画。ソウルで暮らす女子大生ミンヨンは、亡き祖母が遺した1枚の古い写真に心をとらわれている。それは、祖母の親友だった日本人佐々木すえ子とその家族を撮った戦時中の写真だった。すえ子への思いを抑えきれず日本へと渡ったミンヨンは、そこでストリートチルドレンの少年や何者かに追われるジャーナリストら、多くの人々と出会う。やがて、すえ子がかつて暮らしていた屋敷にたどり着いたミンヨンは、70年の時を超えて戦時中のすえ子の苦難を経験する。