陸軍少尉小野田寛郎(中村獅童)は太平洋戦争終結後も終戦を知らないまま、部下の島田伍長(柳葉敏郎)と小塚一等兵(西島秀俊)と共にフィリピンルバング島のジャングルの中でゲリラ戦を戦い続けてきた。やがて、部下二人は祖国への思いを果たせぬまま亡くなり、小野田は一人残されるが、本国からの救出隊が出向いてきても、帰還命令の書式が違うため、敵の陽動作戦だと思い帰還命令には従わない。
しかし、日本から小野田を探しに来た冒険家鈴木紀夫(堺雅人)と遭遇したことがきっかけで、1974年3月、小野田はルバング島での諜報活動を終え、終戦から30年を経て祖国に帰還する。
明治32年、俳優兼演出家兼プロデューサー兼劇団主宰者の川上音二郎は、妻の貞奴や劇団員を連れてアメリカ巡業の旅に出るが、言葉の通じない異国では弁護士が売り上げを持ち逃げしたり、俳優がストライキを起こしたりするなど悪戦苦闘の連続であった。だが、ある日、その苦難の巡業の中でたどり着いたボストンの街で音二郎は、イギリスの名優ヘンリーアーヴィング(Henry Irving)が演じる『ヴェニスの商人』の大入り満員の客席を目にする。そして、彼らはたった一晩の稽古で、日本版『ヴェニスの商人』をでっち上げてしまい、外国人の観客を相手にデタラメな台詞で芝居をし、言葉に詰まったら「スチャラカポコポコ」で切り抜けるような無茶な公演を行う。
Adapted from Haruki Murakami's short stories, The Elephant Vanishes reveals a strange and beautiful world lurking beneath the surface of Tokyo's bright bustle.
The Elephant Vanishes was performed in Japanese by an all-Japanese cast.
海のそばに建つ真新しい一軒家。
この家の主、杉本正樹(前田吟)は、妻に先立たれ、三人の子供もそれぞれ大阪や東京などで自活
しており、一人暮らし。終の住処にと、定年後に家を新築したが、突然病に倒れ、以来寝たきりの生
活を余儀なくされた。
だが、今の正樹には希望があった。それは、3か月前から住み込みで働いている介護ヘルパー、
さおり(星野真里)の存在。子供たちよりずっとやさしいし、若くてかわいい。さおりがそばにいて
くれるだけで正樹は生きようという気持ちになれた。できることなら結婚を申し込みたいとまで思っ
ているが、正樹にはそれができない事情があった。実は正樹は、口もきけず、体の自由も失った、
いわゆる植物状態。語りかけるさおりに受け答えする様子はまるで新婚夫婦のようだが、その声は、
さおりには届くことのない心の声なのだ。
明日は妻の七回忌。久しぶりに子...