海山千吉は正体不明の男だが暗黒街では「地獄の魔王」と恐れられていた。この千吉がある港町で麻薬の大取引きがあることを嗅ぎつけ相棒探しにのりだした。ボスの身代りで北海刑務所に服役中だった熊次は迎えにきた青野、小崎らと港町に向った。ボスが消された後、陣手が縄張りを仕切っていたが、青野らは千吉を新ボスと仰いでいた。熊次もまた千吉の部下となり、陣手にひと泡吹かせようと考えていた。千吉は芝居を打った。陣手は計略に乗りクラブを共同で経営することを約束させられた。だが陣手の裏に黒幕ありとにらんだ千吉は、陣手の動きを監視した。そして市長が公民館に単身姿を現わす事実を知った千吉は市長を連れ出した。市長には幼ない頃、呑んだくれの父を殺した過去があり、成績優秀の彼に代り弟が罪をきた。しかし兄弟が成長した時、弟は暗黒街のボスになり市長のいる東南市で思うがままの悪事を働いていた...
「博徒七人」の笠原和夫と小沢茂弘がシナリオを執筆、小沢茂弘が監督した“七人”シリーズ二作目。撮影もコンビの鈴木重平。
左目は潰れているが匕首居合の名人半次郎、隻腕のピストルの使い手鉄砲松、盲目だが吹針の達人猪の勝らは、右足に義足をはめた拳法の達人一貫の弟鉄山の出所を持って祝金作りに精を出していた。鉄山は分銅鎖の使い手である。金森木材で働く半次郎たちは女主人あきのもてなしを受けるが、たまたま、あきの義弟林太郎が芸者梅千代を身請しようとしているのを知った。しかし、梅千代は金森木材のライバル岩崎木材の岩崎源之助に縛られている。半次郎は一肌脱ぐ気になり、岩崎に会ったが、岩崎は仕込み洋傘の使い手だった。彼は県有林の払い下げがあきの店に落札されたのを恨み、ことごとに邪魔し始めたのである。一方、出所した鉄山は意外にも岩源一家に雇われる。ある日あきの金融を引受けてい...
ラスベガス、シカゴ、ニューヨーク、パリ、ロンドン。今や不況のどん底へ追いやられた世界中の賭博場。そこの賭博師達が次に眼をつけたのは、日本だった。ニューヨークからは、国定忠治の流れを汲むというゴールドラッシュの熊吉が、パリからは、マルセーユ生まれの三代目混血児スペードのジャックが、そしてカイロからも中国からも、本屋敷の経営する国際ホテル地下の秘密賭博場へ繰り込んだ。さらに、期せずして、横浜港にアマゾン無宿の源次が降り立った。ある日の賭博場で、熊吉がイカサマをやったのが発端となり、源次と熊吉が対立。そこに一枚加わったのはジャックだ。源次は、いきなりポケットから二挺拳銃を引き抜いた。(C)東映
昭和4年、浅草にデパート進出を計る資本家と伝統的な露店業を生活の糧とするテキ屋との間には一触即発の不穏な空気が流れていた。浅草界隈きってのテキ屋の名門菊屋一家の四代目貴島政吉には竜太郎と勝男の二人の息子があった。叔父から不義の子と聞かされた竜太郎は、叔父を殺して勘当同然に飛び出し、菊屋一家を目の仇と狙うテキ屋滝岡とグルになった上州馬賊の小松といざこざを起こして留置所に。身柄を引き受けに来た菊屋一家の水野から、勝男が政吉と口論して家を飛び出した事を知らされた竜太郎は、勝男に誰にも話した事のない自分の出生の秘密を打ち明け説得するのだった。度重なるテキ屋同士の内紛をよそに、杉屋デパートの大島社長は任侠肌の博徒国分辰之助の協力を得て建設計画を着々と進めていた。助成金をちらつかせる資本の圧力と度重なる馬賊の嫌がらせに店を畳む者が現れる。竜太郎は大島社長...
各国のスパイが暗躍する第一次世界大戦勃発直後の日本。憲兵隊司令官脇坂中将の命によりスパイ狩りを遂行する愛国団体東狼会が集めた腕利きの武芸者の中に桜木鉄拳の姿があった。“稀代の拳法使い”と怖れられながらも気楽な用心棒稼業を続けていた鉄拳は、東狼会の創始者黒田に見込まれ、一人あたり三百円の契約で狩りを請け負った。最初の仕事は、ドイツロシアに情報を売るスパイ団のボスで横浜中華街の同海楼飯店の主人鄭を倒すことであった。だが、死闘の末、鄭を倒したにもかかわらず日本軍の青島奇襲作戦はドイツ軍に洩れていた。真の首謀者は誰なのか?身代わりとしてスパイに仕立て上げられた鉄拳の身に危機が迫る…。