江戸時代の徳川家光の治世時、寛永年間に入るとようやく安定しつつあったが、家光は太平の世に奢ることなく、武道奨励になお一層の力を注いでいた。寛永十年、江戸城の吹上御苑にて、諸国から選りすぐられた武芸者たちによる武芸試合が催された。世に言う寛永御前試合である。家光をはじめ、薩摩藩主島津家久(島津宰相)ら幕閣諸侯が臨席し、行司には将軍剣術指南の柳生但馬守宗矩、後見には柳生十兵衛三厳がいた。
幾多の試合を経て、薩摩示現流の南郷三兄弟の活躍は目覚しく、最強流派の栄誉に輝いた。家光が「薩摩示現流は日本一の剣」と褒め称えたものの、南郷三兄弟の次兄は「柳生新陰流と戦わずして日本一とは言えず、柳生十兵衛三厳殿とこの場で戦わせてほしい」と申し出る。宗矩は「柳生新陰流は将軍家お家流のため、他流試合は禁じられている」と断るが、島津宰相や南郷兄弟から「机上の剣法、逃げるか」...
ハンター朱実を総番長とする、赤羽駅を中心としたスケ番グループ“赤羽百人会”は、池袋のクラブの鷹を総番長とする“池袋騎兵隊”との戦いに敗北を重ねていた。田口由紀子、通称音無し由紀子と呼ばれる赤羽百人会の番格が、女子特別少年院を退院した。由紀子の頭には焼きついて離れない二人の名があった。一人は恋人の勝と、少年院で対立し決着のつかなかったアラブの鷹だった。冷たく感情を表わさないアラブの鷹に由紀子は、一種の憧憬と闘争心を燃やしつづけていた。赤羽に戻った由紀子は、朱実とアラブの鷹との総番長同士の対マンの話を取り決めるべく、使者をかって池袋へ行くが、池袋騎兵隊の激しい攻撃を受け目的を果せなかった。その頃、由紀子は城北睦会のちんぴらになっていた勝と再会した。勝の兄貴分沖田は、かつてアラブの鷹に頬を切られ復讐の機会を狙っている。ある日、沖田は騎兵隊のリンダを捕え、...
賑わう万博会場を三人のズベ公が、右往左往していた。東京から流れついたサチコ、団体客の食事を失敬する美奈、地方から来た金持の爺さんに身の上話で泣きを入れて、フトコロの金をねらうハツエの三人組である。三人はゴーゴー喫茶でチンピラの三郎とスナックのマダムおすみを知った。おすみはスーパーマーケット営業主任の義夫の愛人だが、義夫は万引き女を捕まえてはホテルへ連れこんだりする悪質な男だった。三人はさっそく義夫を脅し、金をまきあげてしまった。そして、次に計画したのはバー荒し。だが、狙ったバーが暴力団戸田組の経営だったところから、三人はリンチを加えられ、美奈は監視役の三郎と恋仲となった。やがて、村上産業の荒川の腹案で、三人は万博見物の外国人相手の売春組織作りに奔走するが、戸田組の知るところとなり、また追われの身となった。また、おすみも戸田組に責められ、三郎の裏切り...