江戸時代の徳川家光の治世時、寛永年間に入るとようやく安定しつつあったが、家光は太平の世に奢ることなく、武道奨励になお一層の力を注いでいた。寛永十年、江戸城の吹上御苑にて、諸国から選りすぐられた武芸者たちによる武芸試合が催された。世に言う寛永御前試合である。家光をはじめ、薩摩藩主島津家久(島津宰相)ら幕閣諸侯が臨席し、行司には将軍剣術指南の柳生但馬守宗矩、後見には柳生十兵衛三厳がいた。
幾多の試合を経て、薩摩示現流の南郷三兄弟の活躍は目覚しく、最強流派の栄誉に輝いた。家光が「薩摩示現流は日本一の剣」と褒め称えたものの、南郷三兄弟の次兄は「柳生新陰流と戦わずして日本一とは言えず、柳生十兵衛三厳殿とこの場で戦わせてほしい」と申し出る。宗矩は「柳生新陰流は将軍家お家流のため、他流試合は禁じられている」と断るが、島津宰相や南郷兄弟から「机上の剣法、逃げるか」...
結婚して3年。夫が営業部長として第一線で働いているため、対話もレジャーもない夫婦生活に不満を持つ妻。だが突然、夫が早く帰宅し始め、家事を手伝い、2人で外出するという、妻の願いがすべてかなう生活が訪れた。その変化に最初は喜んだ妻だったが…。3回目の結婚記念日を迎えた大仁知成(船越英二)と由木子(京マチ子)夫婦。だが、知成の帰宅は相変わらず午前3時。由木子は、夫婦をどう考えているのか、仕事ばかりで落ち着いて会話もしたことはない、妻を背広をハンガーにかける道具だと思っているのか、など日ごろの不満をついに爆発させてしまう。そして由木子は翌日、思い切り遊ぼうと外出したが、結局何もできなかった。弟の治夫(長谷川哲夫)夫婦を訪問するが、仲の良さを見せ付けられてしまい、しょんぼりして帰宅。由木子は知成の前で、夫婦で家事や外出をするよその夫婦をうらやみ、自分たちの、ろ...
大学精神科の教授結城(宇津井健)は、新設された犯罪心理学研究所の所長に迎えられることに。ある日帰りの遅い娘明子(山口百恵)を迎えに行くと、そこで由紀子(長山藍子)と出会う。結城と由紀子は、15年前にある約束をしたはずだったが、結城は由紀子にその約束を守れていないと責める。しかし、その約束が原因で由紀子は精神的な抑制から強度のノイローゼにかかっていることから、弟潤(松田優作)は結城に激しい憎しみの炎を燃やしていた。研究所の開設パーティーに結城は妻妙子(小山明子)と出席するが、妙子に電話が入りそのまま姿を消してしまう。その後、妙子が遺体となって発見される。妻の殺人事件を中心に明子は自分の出生の秘密、潤は結城家に起った事件に自らの運命を狂わせていく…。