師岡(豊川悦司)は金融会社の営業マンだったが、会社の不正の全責任を負わされ、クレジット会社に出向。妻子とも別れ、何も信じられなくなった師岡は、ある日、路上でホームレスの介抱に慌てる韓国人のミョンファ(ユンソナ)と出会う。ツアーガイドを目指し日本語学校に通っているという明るく前向きな彼女に、師岡は次第に心を開いていく…。
井伏鱒二(橋爪功)の紹介で見合いをした太宰治(豊川悦司)は、美知子(寺島しのぶ)と結婚し、生活を始める。その前に心中事件を起こし生き残って世間の話題になった太宰と、嫁き遅れの美知子はお互いを「ただひとりの人」と心に決める。しかし、太宰と生きることは、美知子にとって「生活する」ということと同じではなかった…
戦争が激しくなり空襲で必死に避難する日々が続く中、作家として名前が知られてきた太宰の下には弟子志望が次々とやってくる。彼はその一人ひとりにアドバイスを与え、困っているものを助けてやる。
そんな太宰を信奉する没落貴族の娘太田静子(菅野美穂)と太宰はお互いの中に同じものを見出し親しくなる。太宰は静子をモデルに「斜陽」を書く。静子は太宰の子を身ごもっていた。生まれてくる子供のことを話し合おうと静子は太宰のもとを訪れるが、彼は富栄(伊藤歩)という新しい愛...
駿河新一、晴子の夫婦は経営する喫茶店を休業して、オートバイで北海道を旅していた。二人の脇を、親に内緒でドライブをしている若いカップルの衛児と陽子が通り抜けた。新一と晴子が河原で休んでいるとき、新一は晴子がコーヒーをいれたのを忘れて、自分でコーヒーを作って飲んでしまい、彼 女は気分を害してしまう。新一はいつまでも怒り続ける晴子を残して一人で出発した。暫く走ると、道路に陽子が倒れているのを発見し、彼女を後に乗せてまた走り出した。陽子は衛児に棄てられたと言う。一方、晴子は衛児にひろわれ、ドライブインに食事に入った。そこへ、新一と陽子が現れ、奇妙な組み合せに、二組は重い沈黙に包まれた。その晩、新一と陽子はテントの中で体を重ねた。一方、晴子と衛児もホテルで関係を結ぶが、若さでアセる衛児に、晴子は疲れるだけだった。翌日も二組は、相手を憎みながら走り続けた。暫くし...
日向一実32歳。職業グリーンコーディネイター、CF撮影など感性を要求される世界で男まさりの仕事をしている。一実は再婚女性で、夫の秀夫は二つ年下の建築家、結婚二年目。最近いつもかかってくる正体不明の電話に、秀夫は前夫の影を感じていた。そんな時、一実に妊娠の予感、しかしなぜか秀夫には黙っていた。そんな一実に微妙な視線を向けるもう一人の男性がいた。行きつけの喫茶店のマスター友春だ。いま一実は、あまりポピュラーでない自分の仕事がささやかでも認められたらと、近づく個展の準備に余念がなかった。個展当日、一実の母志保、姉の茅子もお祝いにかけつけた。盛況にホッと胸をなでおろす一実に、女性誌のフリーライターを名乗る展子という若い女性が取材に来た。そこに顔を出した秀夫が、オートバイに乗ることを知った展子は、執拗に彼にまといつき、彼が建築中の家へ案内してもらう。一方、一...