間寛平のヒット曲『ひらけ! チューリップ』を原案に、クギ師とパチプロを主人公にしたロマンポルノ。腕はよいがブ男の釘師明と女にモテモテのパチプロ見習い洋。そんな二人が、ひょんなことからパチンコ屋の店員牧子を賭けて勝負することになり。
空は重く、暗い、北の果ての港町。順と勝弘の二人は人人の視線を意識しながら、寒そうに肩をすぼめて歩いていた。二人が行きたいのはアフリカの海だった。なぜアフリカの海でなくてはならないのか、本当は二人にも分らない。この計画の全てが曖昧だった。しかし、二人がこの計画に熱中しているのは紛れもない事実だった。春になればマグロ漁船が帰って来る。それに乗ればアフリカに行けるはずである。二人はそれまでの生活費を稼ぐためにイカ釣りの小舟に乗った。二人を雇ったイカ釣り漁師、千代松の孫娘、サヨ子は順と一緒にどこかへ行きたいと思っている。サヨ子の継母、久美は遠洋漁業に出かけている夫の留守中に、若い漁師、峯一を誘い込んでいるのを知り、この港町に耐えられなくなっているのだ。しかし、順は全く興味を示さなかった。船員相手のバーのホステス、ふじ子は順と勝弘に自らの肉体を与え、彼女のヒモ...
釧路ウェザーリポート根室支社に勤める私設予報官岩谷啓一は、町の実力者山川正作にトローリングに誘われた。
気象庁も予知できなかった大時化の徴候を見やぶって漁船を救って以来、気に入られたのだった。
その帰り、酔いつぶれた山川を自宅に送った啓一は、山川の後妻の美代子と初めて顔を合わせた。
彼は山川と美代子の仲が冷えきっていることを感じる。
翌日、出張で根室から釧路へ向かう列車の中で、啓一は美代子とよく似た女性、高井由子と出会った。
由子が置き忘れたショッピングバッグがきっかけで、
彼女は人妻で、「冬凪亭」というライブハウスのオーナーであることを知る。
啓一は同時にまったく違う個性の二人の女性に魅かれていくが