ひと夏を海で過すため、牧蘭子は友人と房州の別荘に行った。彼女は東西貿易社長牧浩太郎の娘で、友人グループの女王様的存在だった。ヨットで海に出た蘭子は、ピストルで負傷した栗谷剛一という青年に会った。彼は新聞記者志望の大学生で、東京に戻る途中何者かに襲われたという。治療のため別荘に留まることになった。剛一には恋人の杏子がいると知りながら彼に惹かれた蘭子は積極的に近づき、泳ぎに行った岩礁の砂浜で熱い抱擁を交わした。
数日後、新聞に殺人事件の被害者写真として剛一の写真が載っていた。名前は新宿の水野組幹部加東勇二となっていた。剛一は間違って狙われていたのだ。人違いをした犯人は剛一が死んだと思っているのだ。瓜二つの男は何者なのか?追求しようと東京に向った。剛一は杏子の兄で毎朝新聞社会部記者の殿村に協力を頼み、水野組の根城キャバレー「サブリナ」に勇二になりすまして...
In a role reminiscent of his most famous character, the nameless 'Yojimbo', Mifune Toshiro is ”The Lowly Ronin”. Calling himself Shunka Shuto (Spring, Summer, Autumn, Winter), he saves a young lord from an assassination attempt and finds himself a wanted man!
Accused of being a thief by those who tried to murder the child, he must clear himself of this horrible accusation. Mean...
青雲学園は私立の名門だが、現在は神竜剛次をリーダーとした暴力団同様のグループに牛耳られていた。白井校長は苦慮の末、関東少年刑務所から“父親殺し”の罪名をもつ流全次郎を特待生として迎えることにした。手錠をかけられたまま護送車で登校して来た流に、校内は異様な雰囲気に包まれた。校長の態度に怒った神竜は、流を学園から追放する事を宣言、そして日頃、彼の行動を批判する生徒会々長の阿部に制裁を加えた。だが、神竜打倒を決意する流に山際涼子ら生徒会グループが共鳴した。この事を知った神竜は、数日後、涼子を屋上から宙吊りにすると脅しをかけた。ところで、神竜の配下には、相撲部主将の大田原源蔵、ボクシング部主将の木崎秀男、空手部主将の田丸栄吉、そして柔道部主将の熊沢重吉らの猛者を揃えた四天王がいる。一方、流にも関東少年刑務所の中で作られた五家宝運--高柳芳次郎、大杉五郎、岩瀬...
学窓を離れ、房総の海岸町にある郵便局に就職した純情青年伊野君は、昼間逢った三人の女性-お色気濃厚の芸者玉奴、清純で美しい局長の娘麗子、先輩久礼のガールフレンドである看護婦のよしの面影が目先にちらつき、故郷を離れた第一夜なかなか寝つかれなかった。女と名のつくものは、お袋しか知らない伊野君にとって強烈過ぎる刺激剤だったのだ。翌日、初めての仕事に張り切る伊野君の顔は明るく、楽しい平和な日が続いた。ところがある日、この町で唯一の新聞社の記者早船が、局長に町民野球大会の寄附を強制しに来た。早船は、町のボス花山の手下となって弱い者いじめをしている狡猾な男だった。野球大会の日が訪れた。だが不思議なことに、ボス花山の投球を誰も打てない。業を煮やした応援中のよしは、久礼に「伊野君を出しなさい」と命令した。愛するよしの言う事ゆえ、久礼は「三振するんだぞ」と言い聞...
銀座で救いを求められた女にアパートへ誘われたキャメラマン槙健策は、そこで五十男の屍体にぶつかった。逃げようとした時、すでに女は部屋の鍵をかけて立去っていた。警察に連行された槙は昨夜の女とそっくりの女に会った。殺された男石垣の秘書高垣静といった。槙は記者の須川と共に事件の究明を始めた。彼は静に接近し、あの夜の女の脇の下にあった痣の有無を調べようとした。それには失敗したが、二人は互いにひかれ合った。ある日、謎の女から救いを求める電話がきた。約束の場所へ着いた槙は拳銃を持った男達に取り囲まれたが、パトロールカーの到着に危く難を逃れた。須川はその時静の部屋のシャワーの音をたしかめた。謎の女は静ではないのか?槙が死体の側で拾った真珠のイアリングは天道立命教の会員章だった。この秘密麻薬結社は秘密を知った槙を車で誘拐し、監禁した。そして彼の体と引きかえに、彼に恋す...
佐伯美津子、小森田みどり、染井しげ子の三人は下高井戸に一緒に下宿して、行商、事務員、パチンコ屋とそれぞれ働き乍ら大学生として勉強を続けていたが、辛いアルバイトの憂さを焼酎で晴らす時もあった。しげ子のバイト先のパチンコ屋の若旦那清吉は何かしげ子の歓心を買う。みどりは近所の貧しい画家山形と知り合い、一夜山形の戦友権藤も加え、美津子、みどりと四人で宴を張り、帰りの遅いしげ子を迎えに行こうと家を出るが、清吉と連れだっていたしげ子は夜警小屋に身を隠し、清吉に唇を奪われてしまう。しげ子が次第に清吉の誘惑に乗せられたり、親友の愛子が婚家を出されたりするのを見るにつけ、作家志望で苦い恋愛の経験を持つ美津子は腹が立つ。権藤の援助で銀座のギャラリーに個展を開いた山形は、はじめて五、六点絵の売れたことを喜ぶが、愛子の母にみどりが頼んだ事実を知って失望するが、しかし結局、み...