ゲイムービー「兄貴と俺」シリーズ第2弾。姉が結婚し、義理の兄ができた高校生の孝太郎。しかし、彼は孝太郎が想いを寄せる担任の体育教師亮一だった。孝太郎は亮一の友人笠間から、ふたりが大学時代セックスフレンドだったと聞かされる。
その中での、人気絶頂の俳優が、自分がゲイだというのを告白するような遺書を残して自殺するというのは、凄い出来事だったのだ。今で言えば、坂口憲二クラスの俳優が自殺した、という感じだろうか。こう言えば、この事件を知らない世代の方にも理解してもらえるんじゃないだろうか。
この映画は、そんな沖雅也事件を題材に、忠実に描いている。といっても映画なので、当然フィクションはあるが、主役の人気俳優の心情はほぼこの通りだろうと言われている。この映画を見た、実際の沖雅也の恋人で、彼を戸籍に子供として入籍までさせていたH氏がそう言ったのだから、間違いない。
そしてこの映画が凄いのは、この件を、決してワイドショー的見解で描くのではなく、あくまでもゲイの立場で、ゲイの心情を丁寧に鮮明に描いていることである。決して芸能界というところでは明らかにすることが出来なかった、ゲイであると...
この映画の出発は、映画を作ってみたいという人3人の、初監督作品だけでオムニバス映画をやってみようということだった。俳優として『ぼくらの季節』や『グッバイボーイ』などで初期の頃からゲイ映画に深く関わり、近年は監督として『ミステイク』や『こんな、ふたり』などの秀作を作り続けている、池島ゆたかがプロデューサーを担当、早速人選から開始した。
とにかく今までにないような斬新な企画で、夢のようなゲイ映画を作りたいという池島は、次々とアイデアを出してきて、その中から具体化してきたのが、異分野でそれぞれ活躍する女性3人に監督してもらったらどうだろうかというものだった。ただ、面白半分でゲイの世界をいい加減に描かれても困るということで、結構この世界にも詳しくってというところから、女優として何本もゲイ映画に出演して関わってきた伊藤清美、サブカル界ではカリスマ的な人気を誇り...