武田晴信(役所広司)は、父信虎(千葉真一)が平賀源心(黒部進)相手に苦戦している様を、やや離れた森陰から眺めていた。どう見ても負け戦だが、信虎は側近の制止を振り切って、なおも猪突猛進の気配だ。その後、信虎本陣へ出向いた晴信は父に撤退を勧め、わずかな手勢を以って殿(しんがり)をつとめると言い放つ。晴信が源心攻めを思案していると、そこに一人の男が現れる。今川義元(松方弘樹)の間者山本勘助(火野正平)だった。勘助の案内で敵城に潜入した晴信は、見事源心の首級をあげ、つつじヶ崎の館へ帰った。母大井夫人(岩下志麻)は喜ぶが、もともと晴信が気にくわない信虎は嫡男の手柄を素直に褒めることができず、絶句する。その後、信虎を追放し武田家の当主となった晴信は、やがて宿命のライバル上杉謙信(佐藤浩市)との5度にわたる合戦に12年の歳月を費やすこととなる。
モーリスルブランのルパン譚のひとつのアニメ化で、「日生ファミリースペシャル」枠で放映された長編TVアニメの一編。
英国の名探偵シャーロックホームズは、仏国の貴族オートレック伯爵から、怪盗紳士アルセーヌルパンを捕縛するよう依頼を受けた。だが怪人は、事件に介入しないよう名探偵に警告。これを無視したホームズが友人ワトソンとともに仏国に渡ると、やがて依頼人の伯爵が死体で発見された。殺人事件の真相は? そしてホームズとルパン、両雄の対決の行方は!
先輩作家コナンドイルの主人公ホームズを自作に客演させたルブランの中編『金髪の美女』が原作。アニメ製作は東映動画(東映アニメーション)で、のちにスタジオぴえろ作品などでも活躍の名アニメーター岸義之が端正な印象のキャラクターデザインを提供している。
昭和初期。浅草界隈の左官、大工をまとめ信望を一身に集める鳶政は、今は病身で、後取りの小頭の秀次郎が兵役から帰還してくるのを待っていた。そうした時、東京で博覧会が開かれることになり、会場が上野に決った。上野は鳶政の縄張りだったが、博徒阿久根一家が札束をつんで工事の利権を譲れと言ってきた。これを断った鳶政は阿久津の子分三日仏に殺された。阿久津はその上、市の土木局長高見沢と結託し、鳶政傘下の業者を買収してしまった。そんなやり方に、阿久津の代貸し重吉とその妹文代は心を痛めていた。重吉は秀次郎とは親友だった。やがて秀次郎が帰ってきた。そして入札は無事に鳶政一家に落ち、会場建設の大工事が始った。そんな時、音吉が芸者染次を身請けするため大切な纒を質屋の岩源に渡し、それが阿久津の手に渡るという事件が起った。音吉は責任を感じそれを取り返しに行って殺され、染次も阿久津に...
網走刑務所で服役中の末広勝治は、満期まで後1年というところで懲役房入り17回の新記録を打ち立てていた。ある日、四国松川刑務所から場外作業場新設のため初犯で成績優秀の囚人二人を移送して欲しいという依頼がきた。所長以下は末広を無理やり模範囚に仕立て上げ、大学出の囚人宮田鉄夫と共に松川刑務所に送ることにした。
四国で彼らを迎えたのは、刑務所長の後藤田と坪島どっく社長の坪島だった。坪島は囚人の矯正活動に熱心で、囚人たちを一般工員と同じ処遇で作業させ、働く喜びを体得させたいと思っていた。だが、この試みに町人たちは猛反発。人間不信の囚人たちも疑心暗鬼の目であった。一方、坪島どっくに隣接する江崎造船の社長は、この機に暴力団を使った坪島潰しを画策していた。奸計を知った勝治は仲間と共に暴力団と対抗するべく立ち上がる…。
1973年から30年以上にわたって長期連載される、ジョージ秋山の人気時代劇漫画の劇場アニメ化。
品川宿問屋の人足頭「雲さん」こと浮浪雲。彼は美人の女房お亀や番頭たちに店を任せ、気ままな毎日を送っていた。そんな父の姿にまじめな息子新之介は不満だが、ある日、浮浪雲は、新撰組の若隊士一文字兵庫に襲われていた坂本竜馬を救った。新之介が日本の将来を思う竜馬に感銘を受ける一方、兵庫は逆恨みから浮浪雲を付け狙うものの、やがては雲の自由な心に魅かれていく。だが時代の波は、坂本竜馬の運命を閉ざすべく過酷な時を刻んでいた。
1978年に放映された渡哲也主演の実写TVシリーズが好評だったことを背景に企画製作された、アニメ映画。先のホール系作品『夏への扉』同様、東映がマッドハウスに本編の実制作を依頼して完成させた。浮世絵の手法構図を再現した美術や作画レイアウトが新...
六本木のカフェバーを経営する色男の中沢(南条弘二)は、あるジャズクラブで知り合った“双子座"の美女めぐみを自宅へ誘い結ばれる。翌朝、彼はめぐみに一夜限りの関係だと告げる。その言葉を聞き悲しそうに去っていくめぐみの姿にほっとため息をつく中沢。そんなある日、彼の浮気が原因で別れた元恋人の亜希子が留学していたスペインから戻ってくる。亜希子を今でも愛しており、寄りを戻そうとする中沢。そんな彼にめぐみが執拗に付きまとい始める。めぐみに対して「俺には決めた女性がいる。それは君ではない。」と冷たくあしらい、更に手切れ金として500万円の小切手を用意する中沢。しかし、めぐみは亜希子にステンドグラスを習うという名目で近づくのだった...。