只野仁(高橋克典)が勤める電王堂に、官公庁主催の晩さん会をプロデュースする任務を受けて、重役候補の石川輝夫(大出俊)がパリ支局から呼び戻される。しかし、電王堂にとって一大事業となるこの晩さん会を前に、料理担当の有力候補だった『ルノーブル』グループのトップシェフ、安住達彦(石橋保)が自殺する。『ルノーブル』のオーナー、青沼誠司(風間トオル)は悪い噂の絶えない人物。スキャンダルを恐れた電王堂会長、黒川(梅宮辰夫)は、只野に特命を発する。「安住の自殺の真相を探れ!」。
本作で岩城が演じたのは、認知症だった愛妻を看取ったあと、1人で暮らす71歳の福山健二。寂しくはあるがささやかな幸せを感じながら生きていた健二は、ある日、物忘れに不安を覚える。刻々と近付く最期を意識し、健康維持と認知症予防に励む健二。市のコミュニティクラブに参加した彼は同い歳の陽気な老人橋本勉と知り合い、友好を深める中で、水泳教室体験入会の貼り紙を見つける。泳げない健二は躊躇するが、橋本は「できないこと、できるようになるの愉快じゃないですか?」と後押し。こうして2人は水泳講師岸本香里の指導を受けることになる。
ある日、一軒家で遺体が発見され、警視庁鑑識課の主任亀田乃武夫(中村梅雀)と部下の紺野千晶(黒川智花)、鷹村祐樹(夕輝壽太)、そして検視官の小川允人(菅原大吉)は事件現場の臨場に赴く。遺体は投資会社「GFV」の社長溝呂木浩一(西興一朗)で、死因は室内にあった電気コードによる絞殺。死後半日が経過していた。現場には、捜査を指揮する捜査一課の管理官として亀田の元妻である中嶋倫子(森口瑤子)も姿を現す。その後、採取された証拠の中の金髪と、1カ月前に発生した強盗殺人事件の被疑者笹原武夫(土方鉄)の毛髪のDNAが一致。捜査本部では、笹原を溝呂木殺害の最有力容疑者に選定する。一方、亀田は自分が現場から採取した極細の糸くずが分析の結果“天蚕糸”という信州安曇野で生産されている最高級品の絹糸だったと知り、興味を抱く。