夭折の天才女流作家樋口一葉が駆け抜けた二十四年の激動の半生。
11月1日(月)、新しい五千円札が発行される。その肖像画になるのは明治の作家樋口一葉。日本銀行券の表面の肖像に女性が選ばれたのは日本では初めてのことだ。TBSでは、この新5千円札発行の当日よる9時、一葉の生涯を描くスペシャルドラマを放送する。
一葉が選ばれたのは「女性の社会進出の先駆者」という理由から。
その樋口一葉のイメージは「ありあまる才能に恵まれながら、志半ばで夭折した悲劇の天才小説家」という儚い人物像が一般的だったのではないかと考えられる。
しかし、その人生をたどってみると、一葉は「明治という極めて閉鎖的な男社会のなかで、女性の社会進出の先駆けとなるのだ」という明確な意志を持って最後まで強く生きた女性だったことがわかる。
一葉の死後、彼女が愛用した文机の引き出しから一枚の半紙が...
朝吉は、大西の賭場で暴れ、長屋の住人たちの用心棒になった。そこへ放れ駒の政吉が旅から帰ってきた。朝吉は、大西の賭場で負けた。旅の女賭博師おりんが、いかさまを見破って金を返したが、朝吉は受け取らなかった。大西は、花島の縄張りに新設される貨物の停車場の荷役の権利を狙って、関西鉄道の島田常務を抱き込み、花島を潰すため朝吉を子分にしようとしたが、朝吉は断わった。花島卯之助は渡世のことは何も知らず、代貸の白石が組を仕切っていた。白石も大西へ色目を使っていて、花島の女房お妙だけが気をもんでいた。遂に長屋の測量を始めたので、住人たちは騒然となった。その頃朝吉は、河内の親分河徳を訪ねて助力を頼んでいた。朝吉に心を寄せるやとなのお浜は、長屋を救うため、大西の女になる決心をしたが、なぜかおりんが助けた。そんな折、朝吉の弟分仙次がトラックにひかれて川に流された。それを見舞...
「山水園」は北国特有の情緒ある横手市で、長年続いてきた格式ある料亭である。女王人の高澄江は夫に死別した後、女手一つでこの料亭を切りまわしてきたが、今は破産寸前であった。だが、一人娘の朝美に縁談がおきた。土地の造り酒屋の次男坊英彦で、「山水園」の立て直しの援助もするという条件であった。大伯父をはじめ親戚も大賛成、澄江は急拠東京にいる朝美を呼び戻した。朝美は音楽学校に在学していて、恋人の学生、聴涛和也と一緒に帰って来た。澄江にとって和也の出現はショックだった。澄江は和也を諦めさせようとするが、二人はかえって愛を強く誓いあった。ある日、大伯父は朝美を山奥の温泉宿へ連れ去った。朝美を和也から引き離し、気の静まるのを待って見合させる気だった。この朝美と和也の悲痛な姿に同情したのは「山水園」の板前の健造だった。健造は女主人澄江に対する叶わぬ恋を胸に秘め、四十五歳...
学生バンドシックスロビンスの一行が、オープンカーで信州の高原を飛ばして行く。運転しているのは、ペットの克彦だ。牛車を追い抜きながら、牛を追っている少女みどりをからかった。途端に凹地にはまって車はスリップ、逆に牛車に助けられる始末だった。町の公会堂で、彼らの演奏会が開かれた。が、演奏なかばにヤクザにかきまわされ目茶苦茶になった。興行師がヤクザと打合せしてやったことで、ギャラを支払わないための手段だった。ヤクザの仲間だったみどりの兄浩志は、そんなヤクザ稼業に愛想をつかし、克彦らを救った。--登校したバンドの連中の所へ、マネージャー格の真紀がやって来て、新しい契約をとったと知らせた。新宿のジャズ喫茶で一週三回の出演である。その喫茶店のステージ近くの席で、いつもバンドを見つめている中年の女性がいた。西条薫といった。克彦の父、有松鉱業社長の栄造の内妻だった。...
紅葉の秋。味が自慢の天ぷら屋天銀の一人息子小林銀之助は、幼馴染の多佳子と磐梯に登るが、旧友今村謙太郎と香取啓子たちの一行と会った。銀之助は後輩にあたる啓子が好きだった。夫に先立たれた銀之助の母うめは、店で小まめに働く多佳子を、息子の嫁にと思っている。一方、謙太郎は前川建設の有能な技師で、啓子は社長秘書。彼女の父、丸菱商事の重役香取英介と前川社長とは無二の仲で、お互の糟糠の妻である安江と正子はよき相談相手だ。香取の頼みで前川は、謙太郡と啓子を結婚させようと骨を折っているが、肝心の本人同士が一向に煮えきらない。ある夜、香取と前川がバー蜂の巣へ出かけると、マダムの京子は前川が二号として囲っている女給ツヤ子に、同じアパートの吉田という学生が熱をあげていると耳打ちした。自分の娘と同じ年頃の女の子相手に惚れたはれたでもなかろうと、前川も考えていた矢先きである。...