獅子文六の新聞連載小説を吉村公三郎監督が前後編に分けて撮った娯楽大作。前編が『南の風 瑞枝の巻』(93分)、後編が『続南の風』(87分)として公開されました。『暖流』同様、佐分利信、高峰三枝子、水戸光子らが出演しているけど、こっちは戦時中にしては珍しいさわやかなコメディですね。
佐分利信演ずる元男爵の息子が主人公。おぼっちゃま育ちで仕事も長続きせずぶらぶら暮らしているところ、以前シンガポールで知り合った笠智衆演ずる旧友が儲け話を持ち込んできます。それは、西南戦争で死んだと思われていた西郷隆盛が、実は生き延びて東南アジアに渡って新興宗教を興し、現在は彼の遺児が教祖になっているという奇想天外な話。その宗教を日本に広めることが出来ればということで大いに乗り気になり、周囲の心配もよそに大金を注ぎ込む佐分利信だが、果たしてその顛末はいかに。
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Masahiko Koseki, a judo master, gets in several fights as a result of protecting a young woman. Despite his success, Koseki is expelled from his judo school because of his propensity for street fighting. He goes to work for a gangster named Joji, but when he realizes that Joji is mixed up in the slave trade, Koseki helps the police in their attempts to foil Joji.
昭和二十一年の夏、楢崎、大平、木原、東郷の四人が彼等の戦友で、比島で死んだ田口の未亡人勝子の家に一周忌のために集った。勝子には六歳の弘があった。その年の暮に雑誌社に務めていた楢崎は勝子と結婚した。楢崎、勝子、弘の三人の団欒は楢崎の戦友の吉野が和歌山の田舎から妻子四人をつれて転がりこんできたことから破れてしまった。そのうちに楢崎は脚の怪我がもとで失職してしまい、勝子は大平の世話で丸の内の劇場の売店に務めることになった。大学を出て新聞社に務めるようになった大平は勝子をひそかに恋するようになった。二十五年の秋に戦友達はまた会合した。武内は特需ブームで巨万の富をもつようになっていた。武内は家に戦災孤児の朝子を引きとっていた。武内の紹介で楢崎は倉庫会社に職を見つけることが出来た。吉野も武内の世話で仕事を得、楢崎の家を出て行った。ある夜大平は勝子に愛情を告白した...
As the film begins, Bunkichi (Takeshi Sakamoto), an affable ne'er-do-well who married late (after sowing quite a few wild oats in his own youth) is approached by members of the community to head a collection drive for a commemorative lantern, a level of responsibility for which his wife Okiyo teasingly calls into question his suitability. Bunkichi further proves his irresponsib...
安サラリーマンの生活に飽き飽きしている岩瀬七郎は、一念発起して社長の加治壮輔に、もっと生甲斐のある仕事をくれと頼んだ。岩瀬を見込んだ加治は、銀座のバークレイヴの貸金の取立を理由に、店の乗っとりを命じた。張りきる岩瀬の荒療治が功を奏し乗取りに成功した。その上加治の裏面を嗅ぎつけた。加治は表面は華族出の美しい阿津子夫人や娘のまさみと、幸福な家庭を営む紳士だが、背後では配下の深見や榊原を使い合法面すれすれにあくどい利益をむさぼる、稀代の悪徳漢だった。岩瀬は第二、第三の悪徳事業に足を踏み入れた。大会社「桜ミシン」の乗っ取り。更には恋人京子の父尾坂の依頼による一千万円の融通手形の詐取。野心に燃える岩瀬には、京子も未来の父尾坂も何ものでもなかった。しかし、調子にのった岩瀬もついにつまずいた。融通手形の買戻し、サルベージに失敗し、金策がつかなくなった。非情な加治...
松村商事会社の女社長松村せいには三人の娘がいる。長女初子の夫昌二郎は暇さえあれば釣りに出掛けている。次女和子の夫三浦は三日にあげず松村社長の怪しげな謡曲のお相手を仰せつかって和子の不機嫌を買ってばかりいる。三女の正子は男なんか大嫌いと言って母の薦める森山との結婚をなかなかうんと言わない。昌二郎は児童玩具の製造販売を企画して社長に提案するが採り上げられず面白くない気持ちと初子の不機嫌な顔から逃れるため待合へ入り浸り幼馴染の芸者鈴千代と親しむ。和子は夫直助の煮え切らないのが気に食わずとうとう喧嘩して松村家へ帰ってしまう。ある日昌二郎の娘千代子と仲良しの植木屋の娘が一緒に食べた物により二人とも病気になり慌てた昌二郎は自分の娘より植木屋の娘を病院へ運ぶ。初子はこの昌二郎に何か真実なものを発見したような気がする。その二人の様子に和子は初めて夫に女性らしい感情を...